早すぎた奇才。新興住宅化したあやめ池遊園地跡地と九十九黄人氏の奇才コレクションズ。

秘宝的な意味ですごいコレクションが奈良にある。との噂に乗って、
意気込みながらあやめ池駅にふわっと到着。

「あやめ池、といえば近鉄あやめ池遊園地を知らない関西人はいない。」静岡育ちの私にはいまいちピンときませんがディズニーランド的な存在だったのでしょうか。そんなあやめ池遊園地のいちアトラクションとして建設された「東洋民族博物館」が、遊園地亡き後も同じ場所に佇んでおります。周りはすっかり新興住宅地と化し、多摩ニュータウンみたいです。

東洋民族博物館

九十九黄人氏は1998年の103歳にお亡くなりになったが、100歳までは現役バリバリで館長としてお客さんへ解説をしていたとのこと。さらに九十九黄人氏のお母様も100歳を超えて生きたという親子揃ってすごい記録保持者であった。お母様は1855年から1860年で生まれた安政ガール。安政元年はペリーが日米和親条約を締結したとある。お母様の時代に長生きなのは珍しかったから、奈良県内で表彰されたとか。お母様が生前座っていたという赤いかわいい椅子も展示されていた。

和装姿のフレデリック・スタール氏

九十九黄人氏が早稲田大学の学生の頃、ドイツ系アメリカ人の人類学者フレデリック・スタール氏の通訳募集に応募し、見事選ばれた。それから通訳などの助手として日本中の民族学的な場所に訪れ、富士山にも15回も登ったという。フレデリック氏の像も和装でバッチリ決めておられて素敵。富士山の網走付近に埋葬されたそうで、富士山LOVE度合いがハンパない。人は愛と情熱で動く生き物なんだと再認識。

ミイラの局部を切り取ったモノ


九十九氏は世界中ありとあらゆる国を回ったそう。海外旅行が一般的ではない時代にどんな手段で旅をされたのか興味深いですね。そんな旅の途中、ミイラ一体まるまるもらえるというシチュエーションに遭遇したものの、さすがに全身は持って帰れず。じゃあ局部だけ持って帰る、というすてきな判断をしたというエピソードが残っています。私も北海道でくじらの座礁を見つけた時、全部は持って帰れないのでほしい部分(背骨、頭骨)だけバイクに積んでるんるんとはしゃいだ経験があります。九十九氏もるんるん気分であったに違いない。

九十九氏のオリジナルはどっち!?

上図:舌吸足知(した すって たるを しる)→九十九氏のオリジナル
下図:吾唯足知(われただたるをしる)→京都の龍安寺のつくばい




他にもこけし、猿の骨、願い事が絵で書いてある大量の絵馬など、独特なアイテムが所狭しと待ち構えていました。

 

あやめ池の今昔

とても希少性の高そうなあやめ池遊園地の園内マップを発見。保存状態がとても良好。右から読む形式。大正15年オープン時のものでしょうか。

有料休憩所が一時間一圓。追加一時間毎に五十銭。家族湯一時間一圓(1円)。旧字体が読めなくて調べました。大人の入場料廿銭(20銭)。相場がパッとわかりませんが、調べてもピンときませんでした。

 近鉄の前身の大阪電気軌道の略称=大軌電鐵。電鉄より電鐵の方がいかつくていいですね。

かつて橋の向こう側には遊園地の乗り物があったのでしょう。中学生の頃の修学旅行でせっかく奈良に行ったのに鹿せんべいの思い出しかない。「あやめ池行こうぜ」って行うファンキーな男子がいて欲しかったです。

撮影禁止の奥の小部屋がなかなかエキサイティングで、本棚の並びはまるで飯田橋の会員制図書館・風俗資料館をフラッシュバックさせるかのようだった。(飯田橋の資料館は女性限定夜の図書館デーの日に入館料1500円で見に行きました)さらにレアなモノもあるとのことで、よく研究者の方々が訪れるそうです。

名称:財団法人 東洋民俗博物館
場所:奈良県奈良市あやめ池北1-5-26
電話:0742-51-3618

開館時間:不定期
休み:不定期のため、必ず電話確認!
入館料:大人500円